明日葉の育て方
今日葉を摘んでも、明日には葉が伸びてくるほど元気なので、明日葉と呼ばれていますが、その割には栽培が難しく、八丈島他、限られた土地でしか栽培されていません。
しかし、その一方で、ベランダ園芸でしっかり栽培をしている人もいて、家庭菜園としては、丈夫で育てやすい野菜と言っています。
まだ開ききらない芯の若葉、若芽を摘み取って使用して、ビタミン、ミネラル、カルシウム、鉄分などを多く含む健康野菜として便利に利用しているようです。
家庭菜園でしっかり育てている人の方法をご紹介します。
明日葉は、砂質土壌を好みますが、水はけの良い土なら良く育つといいます。
日光を好みますが、夏の強い日差しは遮ることができると最適です。
日当たりが悪い場所でも育ちます。多年草なので越冬は可能ですが、寒冷地では零下にならない場所に置くことが必須です。
明日葉は零下になると越冬が出来ないようですが、地上部分が枯れてしまっても、春になれば芽が出てくる場合もあります。
肥料は月に1回程度、少量の化成肥料を与えます。
肥料の与えすぎは良くないようです。
春と秋は明日葉の育つ力が旺盛で、すぐ大きな葉になってしまい、明日葉を上手にそだてている知人のお宅では、幼葉を天ぷらにしたり、茹でておひたしや青汁にも利用しているそうです。できます。
少しセリ科独特のクセがあるのですが、そのクセになんとも言えない新鮮さがあるといいます。
庭の家庭菜園から採りたての明日葉を使って料理をするなんて最高ですね。
でも、長野県に住んでいる私は冬の寒さを何とかできそうもないので、明日葉の栽培は無理かと諦めています。
明日葉の原生する場所は?
明日葉の原産地は黒潮流れる伊豆七島といわれています。
かつては七島以外で見られることはなかったようです。
しかし、現在では三浦半島、伊豆半島、房総半島、またレインボーブリッジ下のお台場でも数年前までは、自然発生的に生えていました。
人間の往来が明治以降頻繁になり、それが種や苗の移動につながったのではないでしょうか。
七島以外で原生している明日葉はおしなべて、伊豆大島原産のものにとてもよく似ています。
伊豆半島の明日葉は、背丈がせいぜい70センチ程度ですが、根から数本の茎が放射状に何本も伸びており、根っこも大きく広がっています。
一方の三浦半島のものはさらに小振りで、せいぜい30センチの背丈です。
房総半島のものも同様です。
どちらかといえば、伊豆大島原産の赤味のある明日葉に近いような気がします。
お台場の明日葉については、新聞記事の掲載によりますので、実際に見たわけではありません。
でも、滅多に人が立ち入ることができないお台場に、自生していた点は見事としかいいようがありませんね。
明日葉がブームになる前は、そういった場所にさりげなく自生していましたが、今ではあまり見かけなくなりました。乱獲がたたったのかもしれません。
明日葉は家庭でも栽培できる?
明日華の栽培に挑戦する人も最近は多く見られるようになりました。
ガーデニングがブームとはいっても、明日葉は観葉植物としては少々見栄えは良くありません。
しかも、霜が降りる場所はダメ、直射日光はダメ、化学肥料には弱い、水はけが良くないとすぐに根が腐ると、なかなかの気難し屋です。
今日摘んでも明日には芽を出す明日葉、とはいわれるものの実際にそれほど生長が早いわけではありません。
むしろゆっくり育つほうかもしれません。
ですから家庭での栽培についても気長に挑戦していただきたいと思います。
栽培はプランターなどでできます。
冬場は霜に注意し、夏場は直射日光を避けます。
肥料としては腐葉土、鶏糞がよく、種から栽培するよりは苗からのほうが楽です。
種からの挑戦はかなりのベテランか好条件が重ならないと成功しません。
しかし10センチ程度に生長したものならば、その後は順調に生育します。
根が十分に育つように深めの鉢(プランター)にするのがコツです。
種から育てる明日葉
種から育てたい、という人もいらっしやるでしょう。
種は専門店で注文するか、あるいは伊豆七島へお出かけの際に人手するのがいいでしょう。
種は黒土(腐葉土を含んだ栄養のある土)に直播きですが、種まき時期は12月~1月。
これは種ができるのが12月であることから理にかなっています。
自然の状態での種の発芽率はかなり高いのですが、栽培での発芽率は驚くほど低いものです。
発芽率を高めるポイントは次の通り。
・半日から一日、湿気を十分に与えて発芽しやすい状態にする
・土は腐葉土を下地にし、黒土と砂を混ぜたものを上土にする
・直播きにし、種の上に土をかぶせない
・発芽するまで種の乾きに注意し、風で飛ばされないようにワラや新聞紙で覆う
・発芽まで1、2ヶ月かかるので焦らず、芽が出たら5~6センチ育ったところで30センチ四方に1本程度に間引きするなどです。
間引きは勇気がいりますが、そうしないとヒョロヒョロの明日葉になってしまいます。
明日葉採取での注意点
栽培が無理なら、自生している場所に出向いて採取する方法がいいでしょう。
とはいっても、土地には必ず所有者があり、その土地に生えている植物は法的には、その土地の持ち主のものです。
勝手な採取は気をつける必要があります。
伊豆半島をドライブしていると、国道わきのちょったした藪の中で、運がいいと明日葉を見っけることができます。
房総半島でも同じです。
伊豆七島では道端に自生している以外は、たいてい農家のみなさんが栽培されているものと思っていいでしょう。
さて、自生している明日葉の採取方法ですが、根っこごと採取は避けてください。
また、花の咲く時期(8月~11月)と種のついたもの(12月~1月)は、明日葉の繁殖のためにも、そのままにしてもらいたいものです。
茎を切ると黄色い汁(カルコン)が出ます。
これが明日葉成分ですが、強烈な染料でもありますから、衣服に付かないように気をつける必要があります。
ところで、明日葉とよく似た植物にハマウドがあります。
姿形が似ていて、しかも同じ様な場所に生えています。
食べても大丈夫です(たいへんマズい)が、見分け方は、黄色い汁。
ハマウドは出ませんが美味しそうに見えますから、注意してください。