ガン(癌)とフコイダン
目次
免疫抑制がガンを発症させる
誰でもそうですが、特に中年期以降には、体のどこかに毎日のようにガン細胞が発生しています。
その数は2000個とも3000個ともいわれ、多い人では6000個くらいも発生しているという説もあります。
ガン細胞はダイオキシンなどの化学物質、排気ガス、紫外線、放射線、食品添加物、ウイルス、煙草などの発ガン物質を摂り続ける生活習慣と、その人の遺伝的素因とによって発生し増殖すると考えられています。
しかし、人にはそれに対抗する機能があります。それが免疫です。
ガン細胞が生まれても、それを発見したマクロファージ、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、キラーT細胞などのリンパ球がすぐに破壊するので、ガンの発症から免れることができるのです。
ところが働きすぎ、心の悩み、消炎鎮痛剤の長期使用など、強く長いストレスにさらされることで、自律神経である交感神経と副交感神経のバランスが乱れて交感神経優位の状態になり、穎粒球が増加し、リンパ球が減少してガンに対する免疫が強く抑制されることも明らかになっています。
ガンの3大療法は両刃の剣
現代西洋医学でこれまで行われているガンの治療方法は、
・外科療法(手術)、
・放射線療法、
・化学療法(抗ガン剤・ホルモン剤)
が三夫療法として選択されています。
外科療法は手術でガンの病巣を切除する方法です。
手術法も進化し早期がンやガンが発症した部位、種類によってはとても有効な方法です。
たとえば早期胃ガンなどは高い確率で治癒が期待できます。
しかし、進行ガンでは、癌の病巣をすべて切除できない、目に見えない微小なガンが残されるなどもあります。
リンパ管、血管を介してガン細胞が転移している可能性もあり、再発の問題も出てきます。
放射線療法はX線、カンマ線、重粒子線、陽子線などの放射線をガンに照射し、ガンの分裂能力をそぎ取ったり、アポトーシスさせる方法です。
これも技術が進歩して、I期、Ⅱ期の咽頭ガンや舌ガン、子宮頸ガンなどに有効とされています。
副作用では食欲不振、疲労、白血球の減少や頭痛、腹痛、下痢、嘔吐、脱毛などの症状も出ます。
化学療法は抗ガン剤やホルモン剤などの薬剤を投与してガンをたたくものです。
急性白血病、悪性リンパ腫などには有効で完治も期待できますし、乳ガンや骨髄腫などに対しては進行を遅らせる働きもあります。
抗ガン剤の副作用には白血球の減少、血小板の減少、発熱、嘔吐、貧血などがあります。
これらの療法はガン細胞をたたくことはできますが、患者自身のガンに対する免疫力をも落としてしまいます。まさに両刃の剣なのです。
ガン細胞だけを死滅させるフコイダン
1996年に開催された「第55回日本癌学会」で、フコイダンが正常細胞にはほとんど影響を与えずガン細胞だけを自滅させる作用があるという研究の成果が発表され、大きな注目を集めました。
その後、多くの実験、研究が積み重ねられました。
そのなかで、シャーレで培養したガン細胞にフコイダンを加えて経過を観察する三重大学の研究で、フコイダンを加えると万一時間後には、ほとんどのガン細胞がアポトーシス(細胞の自殺)を起こして消滅することが報告されました。
正常な細胞はそれぞれ一定の寿命があり、自らの役割、寿命をまっとうすると遺伝子を働かせて、アポトーシスしていきます。
たとえばオタマジャクシがカエルになるときには、尾がなくなりますが、それは尾の細胞がアポトーシスするからです。
人間も胎児のときにはある時期まで、手の指の問が水掻きのようなものでつながっています。
その水掻きを作っている細胞がアポトーシスすることで指の形になるのです。
ところがガン細胞は、このアポトーシスのシステムが狂ってしまって、際限なく分裂を繰り返します。
栄養さえあれば無限に生き続けるといっても過言ではありません。1951年にアメリカのある研究室が、患者から子宮頚ガンのガン細胞を採取しました。
その患者はなくなりましたが、採取した細胞は各国の研究機関で培養され、現在も研究に使われています。
ガン細胞は増殖し続けることで正常な細胞、組織を浸食して、その機能を害し、最終的には患者の命を奪います。
三重大学のフコイダンの研究報告は、このガン細胞をアポトーシスに導くということで日本はもちろん世界各国の研究者からも注目を集めたのです。
ガンの増殖、血管新生の抑制とフコイダン
さらにフコイダンには血管新生を抑制する作用も明らかになっています。
ガンは自らが増殖するのに必要な栄養を得るために、周辺組織に新しい血管をつくります。
その血管を通して栄養を吸収し、どんどん増殖するのです。
フコイダンは、ガンが血管を新生するのを押さえ込む作用があるわけで、ガン患者がフコイダンを飲用すれば、ガンを兵糧攻めにすることが期待できるのです。
このような研究が積み重ねられるなかで、秋川研究所によってトンガ王国産モスクを原料とした、低分子モズクエキスフコイダンを使った腫瘍細胞(ヒトメラノーマーSEKI)に対する「フコイダンの腫瘍細胞の増殖に及ぼす影響」研究も進められ、低分子モズクエキスフコイダンには、腫瘍細胞増殖抑制活性があることも明らかになっています。
トンガ王国産天然モスク抽出物から新たなアポトーシス誘導因子を発見
さらに、ガン細胞のアポトーシスに関しては、従来から秋川研究所の大石博士や谷博士のグループもトンガ王国産天然モスクのエタノールで溶かすことのできる部分に、アポトーシスを誘導する因子(AIF:apoptosis ilnducilng factor)があることを見いだしています。
このアポトーシス誘導因子はフコキサンチン(カロチノイド)の一種と考えられます。
フコキサンチンがアポトーシスを誘導する因子であることは、北海道大学や北里人学などの研究で明らかになってきています。
そのようななかで2004年5月に開催された「第58回日本栄養・食糧学会大会」で、谷博士、大石博士は「トンガ王国産天然モスク抽出物によるアポトーシス誘導作用」の研究成果を発表しました。
この研究は、トンガ王国産天然モスク抽出物から、従来知られているフコキサンチンとは異なったガン細胞のアポトーシスを誘導する低分子の囚子(AIF)を見つけたことから、それを詳細に検討したものです。
実験では、マウス肺ガン細胞やヒトメラノーマ(人の皮膚ガン)などを使用して、AIFを添加しました。
AIFを1000ng/mlになるようにガン細胞に添加したところ、結果は4時間後には約60%、5時間口以降には約80%以Lのガン細胞にアポトーシスが認められたのです。
またAIFをOから1280ng/mlになるようにガン細胞に添加した実験では、320ng/mlを添加したときに約40%のガン細胞がアポトーシスに導かれ、640ng/mlを添加したときには約80%のガン細胞がアポトーシスしました。
さらにこの実験で重要なのは、人の正常細胞(正常繊維芽細胞)では1280ng/mlを添加したときでもアポトーシスを認めることはなく、正常細胞になんの障害も与えていないことがわかったことです。
トンガ王国産モスクエキスは、ガン細胞だけをアポトーシスさせるという願ってもないすぐれた作用を発揮してくれるのです。
マウスヘの経口投与で、3つの抗腫瘍活性が明らかに
この研究に続いて秋川研究所の谷博士、大石博士らのグループは、2005年5月に開催された「第59回日本栄養・食糧学会大会」で「トンガ王国産天然もずく由来新規低分子物質による抗腫瘍効果」の研究を報告しました。
これは第58回の同大会で明らかにした結果からさらに研究を進展させたものです。
アポトーシスを誘導する低分子物質(AIF)を精製し、抗腫瘍効果を解明するためにマウスを使った動物実験が行われました。
マウス肺ガン細胞(2LL)を足掌に移植したマウスに、この低分子物質を飲料水に混ぜて自由に摂取できるようにして、移植したガン細胞に対する抗腫瘍活性を調べたのです。
その結果、低分子物質を経口摂取した群は、投与しなかった群に比べて生存率が有意に上昇したのです。また、肺への転移巣と原発部の腫瘍の大きさは、ともに有意に低下していました。
この傾向は濃度が濃くなるほど強まりました。
さらに興味深いことに、抹消の血液中のNK細胞、IL-2誘導性NK細胞の割合が増加したことです。
NK細胞はガン細胞を見つけるやいなや攻撃して殺す重要な免疫細胞です。
つまり、トンガ王国産天然モスク由来低分子物質には、
・ガン細胞にアポトーシスを誘導させる作用
・ガン細胞増殖抑制作用
・NK細胞を活性化する作用がある
ことが明らかになったのです。
ここでヽもう一つ重要なことがあります。それはこの実験が経口摂取で行われたということです。
注射などで投与するのではなく、飲むことでこれらの抗腫瘍作用が発揮されたわけですから、期待は大変に大きいといえるのです。
マウスによる結果がそのまま人にも当てはまると考えるのは科学的ではありませんがヽ本書に登場した臨床医の皆さんが、患者さんが低分子モズクエキスフコイダンを飲用することで、良い結果が出ていると述べられています。
それは低分子モズクエキスフコイダンに含まれているこの低分子物質による働きだと考えられます。
今後のさらなる研究の進展が期待されます。